●こんな目に遭う(本文の一例)

 めまいと耳鳴りの患者さんが、これまでどのような検査や治療を受けてきたか、私の医院を訪れた患者さんの中から、代表的な例を紹介しましょう。めまいや耳鳴りに悩む多くの人たちが、「私もそうだ」と深くうなずかれることでしょう。

[性別]男性
[職業・年齢]地方公務員(58)
[住所]岩手県
[病名、または症状]メニエール病
[症状の特徴]七十日入院、大学病院もサジを投げた
[効果]抗ウイルス剤を服用後三日目から改善

〈二〇〇二年四月の手紙〉
 ゾビラックスを服用して三日目から、めまいは起きていません。先生のおかげで、間違いなくめまいが止まりました。
 それまでの私は、岩手県内の公立病院に七十日間も入院し、ベッドで安静にしていてもめまいを発症していました。
 主治医は、「これほど症状が安定しない症例は初めてです」とまで言い、最後には、「これ以上の治療は……」と退院させられて、大学病院で検査を受けるように勧められました。
 その大学病院での診断は、「メニエール病」でした。それでも、大学病院での治療法は公立病院のものと変わりませんでした。

 それまでの私は、一週間から十日に一度の割合でめまいに襲われて、勤務を休んで安静にしなければなりませんでした。何とか起き上がることができても、頭にフラフラ感があって運転もできず、出勤や退勤の際には家人に送迎されていました。

 医師は、「めまいは命にかかわる病気ではない」と言います。が、果たしてそうでしょうか? 仕事ができなければ、仕事を辞めざるを得ないわけですし、何よりも精神的に参ってしまいます。たとえそこまでいかなくても、仕事や生活のクオリティなど望むべくもない状況に陥るのは、時間の問題だと感じていました。

『医者がダメなら自分で何とかしよう』とインターネットで「めまい」を検索して、偶然に七戸先生のホームページを見つけました。
 先生が治療に使われているゾビラックスについては、家内が医院に勤務しておりましたので、「間違いのない薬」であることがわかりましたし、インターネットでも調べて「抗ウイルス剤」であることも確認しました。

 しかし、正直に申し上げると、先生がめまいを治療した効果が「八〇数パーセント」とあったのを、失礼ながら『ホントかいな』という思いでした。
 先生のホームページに掲載されていた、日本めまい平衡医学会の前会長による先生の治療法に対する批判論文も読みました。

 それでも先生をお訪ねしたのは、岩手の医師が「これ以上は……」と、言わばサジを投げた状態だったので、『効かなくてもともと』という思いがあったからです。

 先生に処方していただいたゾビラックスを服用して、三日目から効果が現れました。先生の診察を受けるために、新千歳空港のコンコースを家人に支えられながら、やっとの思いでJR新千歳空港駅のホームまで歩いたのがウソのように、めまいが消滅したのです。嬉しくて嬉しくて、当初の予定を変更して小樽観光をしました。小樽の寿司も堪能しました。夜の小樽運河も歩きました。記念に北一ガラスでワイングラスも奮発して買いました。もちろん札幌観光もしました。それほど歩いても、めまいは発症しませんでした。

 先生は、ある学会から「誇大広告」などと言われもない批判をお受けになっていることを知っています。それにもかかわらず、めまいに苦しんでいる我々患者の側に立って孤軍奮闘されている先生を、私は尊敬しています。なによりも、私のめまいを止めていただいた七戸先生に心から感謝申し上げます。

 私は幸いにも札幌まで飛行機に乗ることができたうえに、めまい治療には保険適用外のためにかなり高価ではありましたが、ゾビラックスを処方していただくことができました。しかし、世の中には、お年寄りや、経済的に札幌まで行きたくても行くことができない人々がたくさんいるのです。
 でき得ることならば、めまいの専門家の先生方や耳鼻科の先生方にこの治療法をきちんと認識していただいて、一日も早くゾビラックスがめまいの治療法として保険が適用されることを、望まないではいられません。

 先生、めまいに苦しんでいる私たちのために、どうぞ今後もご研究していただくことを心からお願い申し上げます。
 そして、先生のご研究がいつの日にか、万人に認められんことを心からお祈り申し上げます。

 追伸 
 一、二年前から両側の耳の付け根から首にかけて、痛みも痒くもないのに粟粒くらいの湿疹がありました。また、胸にニキビの初期段階のような湿疹もありました。それが、ゾビラックスの服用開始から三日で赤みが消え、湿疹も消えつつあります。
 以上のことを考えれば、もちろん素人考えですが、私のメニエール病の原因は、先生が言われたようにウイルス性のものではないのでしょうか。

〈それから一カ月半後、五月二十三日の手紙〉
 前回の手紙でもお知らせしましたように、ゾビラックスを服用して三日目からめまいはおきていません。

 最初に服用を始めてから十二日目に、左の喉の奥に口内炎が二カ所できました。
 ゾビラックスをインターネットで検索したら、副作用として「口内炎ができることもある」とありました。(七戸医師の治療法は、抗ウイルス剤を十四日間服用するので)あと三日のことだと思い、そのまま服用を続けたら、口内炎もあっという間に消えました。

 五月十六日の夜に「ふら〜」っとした感じがあり、その晩から昨日まで一週間服用しました。その「ふら〜」とした感じは一度だけでした。

 かかりつけの耳鼻科医に、七戸先生に診ていただいてゾビラックスを服用すると、劇的にめまいが消えた旨を話しました。その医師は、「そのようなこともあるかもしれないけど、私は(めまいが改善した理由は)ゾビラックスばかりではないと思います」と効果を信じられないようでした。
 その医院で、平衡感覚検査と聴力検査を受けました。聴力も、別紙のコピーのように、低音部での改善もありました。医師は今までに経験がなかったことらしく、「検査のコピーをあげましょう」と、ゾビラックスを服用してから十一日目と、服用後一カ月後の聴力検査のコピーをくれました。私には、その医師が、「七戸先生に診てもらう際の資料に……」とくれたように感じました。

 私は今、多少の耳鳴りはありますが、めまいで仕事を休むこともなく、普通の生活に戻って勤務しております。岩手県内で、延べ八十日以上も入院したこと、大学病院の助教授に「この病気は治りません」と言われて、「休職」や「退職」を本気で考えたこと、新千歳空港のコンコースを家内に支えられながら歩いたことが、ウソのように思われます。
 ご紹介申し上げました「○○○○子」さんも、やはり七戸先生のおかげでめまいが無くなって働くことができたと、私まで感謝されました。彼女は、当地の公立病院の耳鼻科医師に、「あとは精神科に……」と言われて、その医師と口論したこともあって、精神的にも疲労していたとのことでした。


 私は、医療を選択するのは患者さん自身だと思っています。患者さん本位に考えるから、インフォームドコンセント(詳しい説明)とセカンドオピニオン(他の医師による診断)は当然のことです。
 しかし、めまいや耳鳴りの患者さんに関しては、患者さんが納得していない医療が行われていることが多いようです。この手紙のように、私のところにいらっしゃる患者さんから、「医者からサジを投げられた」、「医療機関をたらい回しにされた」という不満をよく耳にします。

 私は、めまいと耳鳴りの患者さんに抗ウイルス剤による治療を一九九〇年から始めました。九四年からは医学論文を医学誌に発表し、各種医学会でも発表してきました。しかし、いまだにめまいと耳鳴りの専門医は、私の治療法を認めていません。厚生労働省にしても、治療法としては認めていないので、保険が適用されません。
 そのため、九六年からは、ホームページを開いて患者さんや医療関係者にこの治療法を説明しています。そのホームページをご覧になった患者さんから、問い合わせを多くいただくようになったのです。

 私の医院では、毎週月曜と金曜に、めまいと耳鳴りの患者さんのために説明会を開いています。そこでめまいや耳鳴りを「ヘルペスウイルス感染症」と考えるようになった理論やその治療法、これまでの治療例などを一時間以上説明をして、納得していただいた患者さんだけに、抗ウイルス剤による治療を行っています。

 ちなみに、この手紙を送ってくれた岩手県の地方公務員(58)は、以前からの症状をこう記しています。
〈一、二年前から両側の耳の付け根から首にかけて、痛みも痒くもないのに粟粒くらいの湿疹がありました。また、胸にニキビの初期段階のような湿疹もありました〉
 私は、これがまさしくヘルペスウイルス感染症のあらわれだとみています。ヘルペスの症状は、体のどこにでもあらわれるものです。
 また、服用後には、〈最初に服用を始めてから十二日目に、左の喉の奥に口内炎が二カ所できました〉とも記しています。

 たしかに、アシクロビル(商品名「ゾビラックス」)と改良薬のバラシクロビル(商品名「バルトレックス」)の副作用には「口内炎」と書かれています。が、このような症状については、私は抗ウイルス剤の副作用というよりは、めまいと耳鳴りの原因であるヘルペスウイルスが、抗ウイルス剤と闘って体のほかの場所に出てきたのではないか、と患者さんに説明しています。


          
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